avengers in sci-fi『Disc 4 The Seasons』

avengers in sci-fiの4thアルバム『Disc 4 The Seasons』が素晴らしくて毎日聴いている。昨年発売されたシングル『Sonic Fireworks』はアベンズの世界観であるスペーシー要素が比較的控えめで、マツダのCMという大型タイアップの期待に応えた爽快感あふれる良曲だった。続くiTunes Store配信限定シングル『Yung2』も今までになかった音の艶っぽさが感じられて、いずれもアベンズが新しいステージに突入したことを示唆していた。俄然ニューアルバムへの期待は膨らむのだが、これまで築き上げてきたイメージを超えられるのか?と同じくらい心配もした。でもそれは杞憂だった。想像していた以上の新しいアベンズの世界がそこに広がっていたのだから。

「El Planeta / Death」の意味

この新機軸は3rdアルバム『dynamo』でひとつの大きな区切りがついたというのが背景にあると思っている。この『dynamo』というアルバムは「El Planeta / Death」(2011年2月19日に新木場STUDIO COASTで行われた「Delight Slight Flight Tour」ファイナルの日にだけ発売された会場限定シングル。アルバムに未収録なのが非常に残念だ。)がアルバムラストの「El Planeta / Birth」と1曲目「El Planeta / Love」の間に入ることで【愛→生→死→愛】のループ構造、輪廻転生のストーリーが完成する。この「El Planeta / Death」の入る位置は曲中「死と愛と生をサーフ」と歌っているので、この順番で間違いないはずだ。また同曲では「リベンジのリレーから醒めた」とも歌っているが、思うにこのリベンジとは1stのavenger strikes back(avengerが「復讐者」でstrikes backは「反撃」)のことであり、おそらくその後dynamoまでの一連の流れのことではないかと推察する。つまり、この「El Planeta / Death」という曲は『dynamo』というアルバムを完成させる曲であり、アベンズの第一期を完結させる曲といえる。

でも、まだ続きがある。アベンズが素晴らしいのは、この「El Planeta / Death」を『Disc 4 The Seasons』の最終曲「The Planet Hope」でサンプリングしていることだ。前作を完成させる最後のキーだった幻の一曲が、新機軸のニューアルバムの最終曲に大きな影を落としている。終わりと始まりがここでも繋がる。輪廻転生はまだ続いているのだ。しかも今回は前回より一回り大きいレベルで。このことで第一期と第二期をスッパリと断絶することなく、それを包括する大きな世界観を作り出すことに成功していると思うし、avengers in sci-fiというバンド自体に揺るぎないストーリー性を感じさせてくれる。

宇宙船の旅はまだまだ続く

コンスタントに作品を発表しながら、その度に挑戦と成長の跡を感じさせてくれるバンドは今の時代、稀有な存在なのではないだろうか。自身の築き上げてきたイメージを守りながら走り続けることも、ものづくりのスタイルのひとつだと思うけど、新しい道を探しながら走りまわる姿の方が私はみていて楽しい。ワクワクする。あまり自分というものに固執せずに、邪魔だと思ったらあっさり捨てる。でも、タダじゃ捨てない。そこが面白い。avengers in sci-fiというロックの宇宙船はいったいこれからどこをどう飛んでいくのか、その軌跡をこれからもワクワクしながら見守っていきたい。