初めてのデジイチ選び&PENTAX K-5購入

子供が生まれる前後くらい悶々と続いていた「カメラなに買う?」論争が先週ようやく終結した。もはや千年戦争の様相を呈していた膠着状況が動いたのは今月初旬。第一候補だったPENTAX K-5の生産終了がきっかけとなった。このタイミングを逃したら、もう自分は永遠にカメラを買えそうにないような気がして遂に決心。K-5の18-55mmレンズキットを買った。最終的には生産終了に大きく背中を押されたかたちになったが、優柔不断な自分としては結果オーライのベストバイだったと思う。

「子供が生まれたら一眼レフ!」なんて、カメラメーカーの思う壷なのかもしれないけど、やっぱり撮りたくなるのが子供の写真。しかもコンデジじゃなくて一眼レフで。そういうお父さんは多いと思うので、ここにK-5に至るまでの逡巡の記録を書き残しておく。初めての一眼レフカメラ選びに悩む新米パパさんたちの判断材料になれば幸いだ。

Nikon 1 V1を選び切れなかった理由

実はK-5に狙いをつけたのは生産終了になる少し前の話で、それまで第一候補はずっとNikon 1 V1だった。Nikon 1が発表された時にこれはないな〜と思ったのだが、実際手に取って触ってみると意外と悪くない。いや、むしろとても良い。特にV1の黒は持った時のボディの質感も良いし、軽すぎず重すぎな適度な重みもあって、他のミラーレスが醸し出すなんとも言えないおもちゃっぽさと一線を画するものだと思う。はじめはどうかと思ったデザインも、見慣れると男の道具らしさとモダンデザインの融合といった感じで、所有欲をかりたてる道具としての魅力があると思う。これで動体に強くて、一般的な一眼レフに比べればコンパクトときたら、子供撮り最強カメラなのではないかとK-5を買った今でも思っている。

では、どうしてNikon 1 V1を買わなかったのか。それはもうレンズの少なさに尽きる。子供がまだ小さいので室内撮りの機会が多いことを考えると、F値の低い明るいレンズが欲しいところ。ニコン1マウントレンズは一番明るくても10mm F2.8のパンケーキ。暗いとはいわないが、もっと明るいレンズが欲しいな〜と思って様子見をしていたのだけど、新しいレンズの情報がなかなか出てこない。Nikon 1が発売されてからもう少しで1年だというのにこの動きのなさでは、ちょっと賭ける気がしなかった。マウントアダプターを使うこともちょっと考えたが、今現在Fマウントレンズを持っているわけでもないし、マウントアダプターありきでNikon 1のためにFマウントレンズを揃えていくのもおかしいと思うのですぐに却下した。

煮詰まったら出発点に立ち返る

コンデジからのステップアップでミラーレスと一眼レフ、どちらがいいか?という問いに私も悩まされたが、結局のところ何を一番大事にするかだと思う。

私の場合、一番大事なのはどれだけカメラを肌身離さず持っていられるかということだった。持ち歩き易さがそのまま日頃のシャッターチャンスに繋がると思うし、そういう瞬間を切り取りたいからカメラが欲しいと思った。重たいということが持ち歩かない理由になったら、本当に何にもならない。なので持ち歩き易さは画質と天秤にかけるくらい大事なポイントだ。そういう人は多いと思う。だからこそのミラーレスという選択肢なのだ。

でも、ここで原点に立ち返りたい。なんで新しいカメラが欲しいのか?どうして今までのコンデジではダメなのか?そう、機動性ならミラーレスどころか、コンデジが最強なのだ。なんなら今は携帯電話でもある程度の写真が撮れる時代なのだ。でも、それでは物足りないと思うから、もっといい写真が撮りたいと思うから、だから新しいカメラを買うんじゃないのか?だったら答えはシンプルだ。ミラーレスではなく、一眼レフを選ぶべきだ。

ミラーレスは「赤魔道士」

赤魔道士とはファイナルファンタジーというゲームに登場する職業のひとつで、白魔法も黒魔法も使える便利な職業なのだが、ある程度のレベルの魔法までしか覚えることができない。なので物語の序盤は便利なのだが、中盤以降は完全に活躍の場を失う。そのことがはじめから分かっているから、私は絶対に赤魔道士という職業を選ばない。同じ経験値を得るなら、最後まで極められる白魔道士なり黒魔道士を最初から選んで得たい。

これ、そのままカメラ選びに当て嵌らないだろうか?

きっとコンデジに物足りなさを感じるように、近い将来ミラーレスにも物足りなさを感じるんじゃないのだろうか。それならば、最初から一眼レフを選ぶべきだろう。位置づけ的にはコンデジからのステップアップとしてのミラーレスなのだろうけど、考えれば考えるほどミラーレスはもっと特殊なジャンルなんじゃないかなと思う。少なくともコンデジからステップアップしたいという初級者が選ぶべきではないような気がしてる。実際いろいろなレビューを見たが、ミラーレスはサブ機として使っている人が多いような気がした。そういう人はかなり本気なメイン機を持っていて、ある程度遊び感覚でミラーレスを使っている。おそらくそういう使い方がちょうどいいんじゃないかと思う。

PENTAX K-5を選んだ理由

実は10年以上前に初めて買った一眼レフがPENTAX MZ-3で、その頃のレンズ財産目当てというのが大きい。先に述べた通り、当面の目的は室内の子供撮り。であればキットレンズじゃなくて明るい単焦点が欲しくなるのは時間の問題のはずで、だったらMZ-3で使っていたFA50mm F1.4を使えばいいということに気づいた。

ただ、財産とは書いたがFA50mmとタムロンの望遠の2本だけなので、心機一転、イチから別マウントでやってみたいという思いが当初強かった。なのでNikonとCanonでいろいろな選択肢を考えてみたが、結局またPENTAXを選んだ。

やっぱりまず、NikonやCanonの同クラスの機種よりもお得感がある気がするということ。そして小さいということ。主にこのふたつではないかと思う。あと、NikonやCanonのフォルムは丸っこくてどうにも馴染めない。それに比べてK-5は直線的で無骨な道具っぽさがあって、そこが何かグッときた。

思えばMZ-3を選んだ時の理由も同じだったような気がする。道具としての所有欲を駆り立てる無駄のない美しいフォルム。結局いくら性能が良かろうがなんだろうが、最終的に「欲しい!」と強く思えなければ、きっと愛せないのだと思う。愛せるからこそ、持ち歩きたくなる。私の場合はそれがかつてMZ-3であり、今回のK-5であった。身も蓋もない直感論だが、画面上でいくらにらめっこしたところで、実際に売場で触ったら印象がコロっと変わることが多々ある。Nikon 1 V1のように。見た目と持った感じの感覚って、実はかなり重要なポイントだと思う。

K-30にしなかった理由

K-5はもう生産終了の在庫限り状態で、値段的にも正直うま味はもう薄い。先月末発売されたばかりのK-30の値段がそのうち落ち着いてくると思われるので、気になる人は今はもう少し待ちじゃないかと。K-30も触った感じは男らしくてカッコ良かった。とはいっても、K-5とは別の方向性のカッコ良さだけど。K-30の流線型で攻撃的なデザインより、K-5のオーソドックスながらも高級感があるデザインの方が個人的には好みだ。たぶんV1にしろK-5にしろ、マグネシウム合金が好きなのかもしれないというところもある。

シャッターチャンスは待ってくれない

K-30を買うならもう少し待った方がいいとは書いたが、待てば待つほどその分のシャッターチャンスは失われることになる。1年も悩みに悩んで待ち続けた私が言うと説得力がないが、子供の成長は日々刻一刻だ。昨日できなかったことが、今日できたりする。その瞬間をおさめたいからカメラが欲しいわけで、カメラ選びに時間をかけすぎるのは本末転倒なのかもしれない。

とはいっても、予算の問題もあると思う。潤沢な予算があるのなら、迷ったり悩んだりしない。潤沢な予算がないからこそ、その予算内でのベストバイは何かを考え続けるわけで。でも実はこれはこれで楽しい時間だったりする。迷いに迷って、あなたのベストバイが見つかりますように。