Photo by Adi Goldstein on Unsplash

モニター系なのに楽しいイヤホン – Westone UM Pro30を購入

もう一昨年の話になるけど、ortfonのe-Q7を有償修理(保証期間を過ぎてからの断線)した。それからというものの、すっかり高いイヤホンを普段使いすることにビビってしまい、壊れても泣かない用に評判の良かったJVCのHA-FX3Xを購入して使い倒す日々だった。

このHA-FX3Xがこれまたコストパフォーマンスの高い良いイヤホンで、通勤電車で使う分には申し分なかったのだが、やっぱりいつかリケーブルできる高級機が欲しいなあ〜と思った。それがちょうど去年の今ごろだったと思う。

しばらくしてUltimate EarsのUE900の発売、それにともなう10proの製造終了&激安祭りがあり、それを虎視眈々と狙っていたのだが、最安値ラインを見極めすぎて結局買いそびれた。これにはけっこう参った。最終的に「せっかくなら新しいやつ買おうぜ!」と自分に言い聞かせて必死に慰めたのが去年の夏前だった。

そうやって傷心を癒しながらそのまま夏が過ぎ、しばらくイヤホンのことも忘れていたのだが、秋も深まりつつあるある日、WestoneのUMシリーズのリニューアルの情報を知った。レビューを読む限りではUM Pro30が自分的にかなりドンピシャな感じで、感覚的に待っていたのはこれだと思った。10proを買えなかったのは、このUM Pro30を買うための伏線だったんだ!(とまでは言いすぎ)。

さて、UM Pro30を視聴に行こうかどうしようかと思っていたら、そこへWシリーズも12月に刷新するとの情報が。それなら今すぐUMに飛びつくのではなく、Wを聴いてから判断したいと思うのが人情ってもの。そんな感じで、この時にもう候補はUM Pro30かW40のどちらかに何となく絞られていた。

待ちに待った12月、念願だったW40とUM Pro30を聴き比べしてUM Pro30を買った。Westone的には「リスニングのW、モニターのUM」らしいが、私はUM Pro30のモニターっぽさがありつつも元気に鳴らす感じがツボだった。

W40に比べると音がスッキリシャッキリしていて、分解能力がすごい。音楽というより音を聴く感じだ。このあたりがリスニングとモニターの違いなのだろうが、今までモニター系のイヤホンってつまらない音を鳴らすという印象であまり好きではなかった。でもUM Pro30はモニター系なのだが聴いていてすごく楽しい。こんなイヤホンあるんだ!って驚きだったし、感動した。

ライバルとの比較

というわけで、UM Pro30購入に至るまでの経緯をつらつらと書いてみたが、じゃあ実際のところ使ってみてどうなのかというと、非常に満足している。まあ、あれこれ必要以上に考えまくって、レビューを読み漁りまくって、気になるのを片っ端から視聴しまくって、そうやって1年かけて出した結論なのだから当たり前だ。

今回は本命がUM Pro30、対抗がW40、次点でUE900、ダイナミック型ではゼンハイザーのIE80が候補だった。W40だけ少しだけ高いがだいたい同じような価格帯で、ポジション的にはIE800やSE846などの超ハイエンドの下にはなるが、どれもがそれぞれのメーカーの看板を背負った実質的なフラグシップ、間違いのない機種といえる。

いってみれば、どれもがどれも「最高」なのだ。そのなかで自分の好みはどの「最高」なのかという話であるだろうから、やっぱり最終的には視聴して決めるのが一番だと思う。私の場合は今回はそれがUM Pro30だったというわけで、人によってはUE900の方が良いって言う人もいるだろうし、でもそれはそれで構わないと思う。

簡単だが、私が感じたそれぞれの所感を書いておく。素人耳なのであまり立派なことは書けないが、選ぶ際の何らかの参考になればと思う。

Westone W40

話には聞いていたが、めっちゃ普通。言い方を変えればクセがない。それぞれの音域が過不足なく鳴るバランスの良い真面目なイヤホンという印象。低音も目立って出てるわけではなく、あくまでも全体のバランスを崩さない程度の量感。何もかもちょうどいいように出来ていると思った。

装着感は私の耳にはUM Pro30の方が合っていた。大きさはUM Pro30とたいして変わらないはずなのに、着けた時のフィット感はUM Pro30の方が良かった。これはきっと個人差があると思うのだが、UM Pro30の方がピンポイントで耳にフィットする感じだと思った。

Ultimate Ears UE900

第一印象は「思ったより悪くない」だった。レビューを読む限りでは、10proと比べられて散々なことを書かれてるのをよく目にするのであんまり期待していなかったのだが、W40と同じように全音域をバランスよく鳴らすフラット系のいいイヤホンだと思った。

ただW40と比べるとなると、W40の方が低音が出てるし全体的に濃く感じた。感覚としては、メーカーは違うがW40の下位くらいのポジションのように感じた。装着感はUM Pro30やW40ほど耳にピタッとはまる感じではないが上々だと思う。

あとUE900はデザインがいい。UM Pro30は本当に素っ気ない感じなので、UE900のアクセサリー的な見た目はちょっと羨ましい。ただ、UM Pro30は逆に見た目を全然気にしない道具としてのデザインがいかにもプロユースっぽくて、これはこれで結構アリだなとも思っている。

Sennheiser IE80

よく聴く音楽のジャンル(ロックや打ち込み系)的にはダイナミック型も選択肢に入れるべきかなと思い、ダイナミック型の最高峰ともいえるIE80も視聴してみたが、やっぱりとても良かった。

特筆すべきはやはり低音の豊かさだが、かといって高音域も埋れていない。解像度はBA機に比べれば劣る感じだが、逆に音が自然に感じられる気がする。うまく言えないが、ゼンハイザーっぽい音だなと思った。装着感はUE900とだいたい同じくらい。ただ、遮音性はあまり高くないと感じた。

UM Pro30、買って後悔なし。

先日早くも上位機種のUM Pro50が発表されたが、おそらく6〜7万円くらいにはなるだろう。そのくらいの値段になってくるとさすがにちょっと手が出にくい。それに、そこまでお金を払ってユニバーサルモデルを買うくらいなら、じゃあもうちょっと予算を捻出してカスタムIEMにいった方が幸せかなとも思ってしまう。

なので、これは別に負け惜しみでもなんでもなく、やっぱり自分にはUM Pro30という選択肢でちょうど良かったと思っている。いや、UM Pro30でさえ自分の環境を考えると分不相応な高級機だと思うので、末長く大切にしていきたい。