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青春の正体 – 映画『横道世之介』感想

まず最初に謝る。ごめんなさい。はっきり言って舐めてました。どこのブログかは忘れてしまったのですが「2013年は『横道世之介』を観れたから満足!」的なのを読んで、そんなにいい映画なのか〜って気になっていたのだけど、いや〜本当にすごくいい映画でした。疑ってごめんなさい。たぶん私も劇場で観たら「2013年は『横道世之介』を観れたから満足!」って書いていたと思います。そして、劇場で観たかったと思える一本でした。

なんだろうね、この観てて自然と笑みがこぼれてしまう感じ。普段あんまり映画を観て笑ったりしないタイプだけど、この映画に関してはけっこうずっとニヤニヤしっぱなしだった。特に吉高由里子演じる祥子がカーテンに隠れてしまうところなんて最高だと思う。

そして祥子を見舞いに行く病室のシーン。忘れてたよ、好きな人の下の名前を初めて呼び捨てにする時の込み上げてくるようなくすぐったさ。何かを確かめるかのように、何度も何度もバカみたいに名前を口にするあの感じ。ふたりの後ろで何も言わずに立っているメイドがその光景を見て泣くんだけど、なんだろうねこの涙の正体は。

個人的にいいな〜と思ったシーンがもうひとつ。綾野剛演じる加藤が世之介のことを思い出して笑いが止まらなくなるシーン。どこがどういいのか説明が難しいのだけど、ただ単純におかしくておかしくて笑いが止まらないという感じではなく、笑わずにはいられない、もしくは笑うことしかできないといった感じにもみえる絶妙な演技が素晴らしかった。

青春の正体

正直いうと、前半はもう個人的に思い出がフラッシュバックする場面の連続で胸が苦しくなったりもしたが、この映画を観て少しだけ青春ってやつの正体を自分なりに掴めたような気がした。

私にとって青春は太陽なんだと思う。だから不用意にその中を見つめようとすると、強い逆光で目を焦がすことになる。そう、なんなら傷つかずに振り返れる青春なんて青春じゃないとでも私は言ってしまいのかもしれない。でも、本当は傷ついたりなんてしないのだ。ただ傷つこうとする自分がいるだけだ。