サウンドノベルの完成形 – 『428 ~封鎖された渋谷で~』感想

ずいぶん前に買ったまま積んでいたのだけど、やりはじめたら止まらずに数日間で一気にクリアしてしまった。評判通りのおもしろさだった。チュンソフトのサウンドノベルは『弟切草』『かまいたちの夜』まではすごく楽しめた記憶があるが、続編『かまいたちの夜2 監獄島のわらべ唄』がちょっと期待外れだったこともあり、なんとなく離れてしまった。でもやっぱりさすがチュンソフト。『428』がおもしろかったので『街』もやろうかな。でもその前にボーナスシナリオのコンプリートかな。

舞台は渋谷。5人の主人公の話を行き来しながら物語を進めていくのだが、これがなかなかうまい具合に絡み合っていてよくできている。たとえば「ある人物Aが◯◯することで、Bが死んでしまう。Bが死なないようにするには、Cの行動を変えてAが◯◯しないようにすればいい」といったような具合で、上手にBAD ENDを回避しながらメインのストーリーを進めていく。こう書くと面倒で複雑な感じがするが、わかりやすいヒントもあるので行き詰まることはない。

完成された唯一無二のエンターテインメント体験

『かまいたちの夜』は分岐ポイントの選択に話が変化するが、基本的には主人公の目線ひとつで物語を読んで行く一人称タイプのゲームだ。『428』の場合はひとつの事件を複数の人物の目線で読み解いていくという三人称タイプであり、プレイヤーが神のような視点でキャラクターたちを操りながら導いていく『428』の方がよりゲームらしいおもしろさがあると思う。『428』を体験してしまうと、選択して読み進めていくだけの『かまいたちの夜』はサウンドノベルの金字塔ではあるものの、まだまだゲームブックの延長線上レベルであったのだなと思えてしまう。

『428』におけるKEEP OUTになるタイミングやJUMPの巧妙さは、いずれも本にはないゲームならではの演出だ。ところどころ流れるムービーも効果的で、まるで映画を観ているような気分にさせてくれる。ストーリーの謎も終盤で一気に解かれるのではなく、時間とともに徐々にほつれるように明かされていくので、変に焦らされたり途中でダレたりすることはない。これほど計算しくつされた芸術的なシナリオを作った製作者に最大級の賛辞をおくりたい。気になっている方は、ぜひプレイすることをおすすめする。小説でもない、CDドラマでも映画でもない、サウンドノベルでしか味わえないエンターテインメント体験が待っている。