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さようならシナプス。ありがとうラジオマン。

先月末、もう一週間前の話になるが、TOKYO FMでやまだひさしさんがやっていたシナプスという番組が最終回を迎えた。毎日聴いていた番組が改編期で終わるのは慣れっこだけど、終わるのがこんなにも名残惜しく思う番組は最近なかった。

最終回の日、やまちゃんはいつも以上にテンションが高かった。だからいつも通りに楽しい感じで終わるのかなと思っていた。

でもラスト10分、堰を切るとはまさにこのことといった感じで、やまちゃんは溢れ出す感情を抑えることなく、涙で声をうわずらせながら今日に至るまでの道のりとラジオへの思いを語りだした。

亡くなったかつての相方のこと、姪っ子のこと、そして震災のこと。やまちゃんにとってのこの三年間は、とても一言では言いあらわせない出来事の連続だったに違いない。

やまちゃんは震える声でこう言った。「ラジオがなかったら生きてこれなかった」と。「ラジオがあってよかった」と。

ちゃんと真っ当に生きていたって、毎日楽しいことばかりがあるわけじゃない。それをすべてを飲み込んで毎日マイクの前で元気に喋り続けてきたのは、決して私たちリスナーのためだけじゃなく、後ろ向きな気持ちに囚われそうな自分を必死に鼓舞させるためという部分もあったのだろう。

ラジオの持つオルタナティブな側面を自分自身の力に換える。そんなやまちゃんは正真正銘のラジオマンだと思う。そして、そうやって弱い自分を認めて、それを恥も外聞もなくさらけ出すことのできるやまちゃんは本当に素敵な人だと思った。

思えば、最終回以外にも一度だけやまちゃんがラジオマンではなくやまだひさしとして喋ってた時があった。亡くなった相方が大好きだったという忌野清志郎の「激しい雨」をラストにかけた日のことだ。そうだ、あの時もラジオってすごくいいもんだなって思ったっけ。ありがとうやまちゃん。ありがとうラジオマン。