ふたりの新弟子から占う『バチバチ BURST』の行き先

※前作『バチバチ』のレビューはこちら

個人的に少年誌でいま一番楽しみにしてるマンガ『バチバチ』の第二幕となる『バチバチ BURST』の第1巻が発売された。舞台は吽形の廃業から半年後。空流部屋にふたりの新弟子がやってくるところから物語は再開する。そしてこのふたりが空流らしく(?)実に食えない男たちなのだ。このあたり、なんとなくガチンコファイトクラブのノリに似ている気がするのだが、あの問題児だった鯉太郎が教育係か…としみじみする間もなく、おそらくほとんどの読者が作中の鯉太郎のようにこの新キャラクターふたりにイライラすること必至の波乱含みな第1巻となっている。

常松がもたらす空流部屋の不協和音

まずひとり目の新弟子・常松。厳しくも和気藹々な雰囲気がある空流部屋の雰囲気をかき乱す謎多きエリートだが、この不穏分子を同部屋にしたのがおもしろい。なぜなら同部屋だと本場所でおいそれと直接対決できないからだ。スポーツマンガは直接対決でお互いを認め合って和解というのがセオリーで『バチバチ』もその例にもれない。ただ、同部屋対決は前幕終盤で白水・鯉太郎戦、そして阿吽戦と立て続けにやっているので、マンガ的に早々と鯉太郎と直接対決なんてことは考えにくい。なので直接対決以外の方法で常松の真意を問う必要がでてくるように思う。でもそれってタイトル通り激しいぶつかり合いを描いてきた『バチバチ』というマンガ的にどうなの?常松がもたらす不協和音を作者がどう捌いていくのかが、これからの大きな読みどころになるのは間違いない。

大吉を通して描かれる兄弟愛

そんなエリート常松に対して、もう一人の新弟子&問題児である大吉は正真正銘の素人スタートなわけなので、まだまだ土俵をドッと湧かせるような雰囲気はない。そもそも力士としての可能性も謎だ。それでも川ちゃんみたいなギャグ担当はふたりもいらないと思うので、今のところ賑やかし程度のポジションにおさまっているが、最終的には白水のように覚醒して化けていくことになると予想する。ただし、そこまでたどり着くにはちょっと時間がかかりそうだ。

おそらく作者としては、常松のように積極的に物語をかきまわす役とは別に、鯉太郎の精神面の補強として新しいキャラクターをもうひとり用意したかったのではないだろうか。かつて白水にとっての吽形がそうだったように、大吉の弱さにどれだけ鯉太郎が寄り添えるか。1巻のラストを見る限りではそういう路線でいくことが伺えた。弟弟子たちとの関係を通して鯉太郎が兄弟子としてだけでなく人間としてどのように成長していくのか注目したい。

たかまる長期連載への期待

『バチバチ BURST』は新弟子たち以外にも注目ポイントが満載だ。まず無敗街道を突っ走る王虎に、ダークサイド堕ちフラグが立った田上。あいかわらず虎上部屋からは目がはなせない。また、吽形というライバルを失った仁王の新しいライバルの登場も期待されるし、何よりまだまだ上位陣が全然登場していない。いつかは鯉太郎たちと上位陣の対戦がみられると思うが、その前に仁王の幕内での奮闘と活躍が描かれることになるだろう。ファンとしては描いて欲しいことは山のようにある。

タイトルを変えての再スタート、そして成長の遅そうな大吉という新レギュラーの加入は、チャンピオン連載ということを考えると長期連載ラインにのったことを伺わせる好材料だ。『バチバチ』が全16巻だったので、『バチバチ BURST』にはそれを超える長期連載、もしくはバキのように第三幕…と、いずれにしても誰もが納得のいくラストまで末永く、そして熱く続いていって欲しい。